1. >
  2. >
  3. 障害を持つ子供を保育する「統合保育」の現状
子どもの日

障害を持つ子供を保育する「統合保育」の現状

統合教育の歴史とは

統合教育というのは障害を持っているお子さん、また障害を持っていないお子さんが一緒に保育を受けることを言います。
健常児が幼いころから障害を持っている人に理解を深めるという意味でも注目される教育です。
障害の度合いによって統合教育を受けることができない場合もありますし、理解が得られないこともあり、賛否両論ある教育ですが、非常に深い教育ではないかと思います。

もともと日本では重度障害を持っているお子さんについて、就学できない、自宅、施設によって過ごすことが一般的で、健常児と同じ学校に行くことはないということが一般的だったのです。
でも、1979年養護学校義務化となり、障害を持つお子さんが教育を受ける施設が整い、それによって問題となったこともあります。

それは障害を持っているお子さんは専門機関に行くという分離意識が明確になった、つまり健常児とはずっと一緒に教育を受けることができないことが明確になったということです。
このような教育制度になったことで統合教育という考えが生まれたといわれています。

統合教育のメリットは非常に多い

統合教育を受けることによって、健常児が障害を持つお子さんと自然に、ともに成長することになります。
障害を持っていることに偏見を持たず、特に意識する事もなくその子の個性ととらえて成長することができる、障害を持っている子は差別的な要素を受ける事もなく成長できるのです。

障害児は時に人間関係が狭くなることが多いのですが、親、兄弟とは別に同年代のお子さんたちとのかかわりを持つことで、心身共に大きな成長を遂げることができます。
障害児の親御さんも、ずっと付きっ切りでケアをしていたのに、統合教育となることで子育てに関する支援を受けることができ、孤独感、不安感なども少なくなることもメリットです。
保護者が働く時間を持てることで、経済的な問題の解決になるということもメリットとされています。

統合教育はデメリットもある

全くデメリットがないといいたいところですが、残念ながら統合教育にはデメリットもあります。
同じ保育施設に健常児と障害児がいることで保育士の目がどうしても障害児に向けられることが多くなり、保育の質が下がるという問題があるのです。
またすでに障害に対して意識を持っている子がいると、いじめの対象になったり、疎外されるなど、障害児の精神的な負担を負うこともあります。

障害児にとっても、健常児が同じ空間で過ごすことで自分がほかの子と違うことなどが顕著になり、精神的に不安定になったり、障害を憎む状態となることもあるのです。
また保育士が障害に対して専門的知識を持っていないという面も、デメリットとなります。

統合保育で保育士はどう保育を考えるべきか

保育士が統合保育施設に勤めるとき、障害について専門的知識、技術ともない中でどのように保育を考え進めていくべきなのか、それに迷うこともあると思います。
障害はその子によって違いがあり、重い子もいれば、軽く健常児とそれほど変わりないという子もいるのです。
それによって援助の方法、度合いも全く違ってきます。

担任となるクラスに障害を持っているお子さんが入園してきたとき、保育士は必ずそのお子さんの障害について知識を持ち、保護者の方からよくお話を聞くことも必要です。
障害についてどのようなケア、援助が必要となるのか、保護者からレクチャーを受ける必要があることもあります。

しかしお子さんを保育するということには変わりなく、障害を持っていてももっていなくても同じ子供を保育する立場にある意識をなくすことはできないのです。
保育士の知識しかない状態は明らか、だったらまずその子に対しての知識を持ち、「保育士として」できることを丁寧に実践していくことが大切だと思います。

障害が重度でこれはできないケアだなと思う場合には、園長先生に相談し、保護者を交えてどう解決していくか話し合いを持つことも必要です。
一人で抱え込まず、周囲の同僚、先輩、園長などに相談しつつ保育をしていくことが大切になります。